身の回りのものでほしいものがある時に、まず訪れる大好きなお店がある。
それが “暮らしの中の楽しいこと”をテーマにした生活道具屋「talo-K(タロケイ)」。私の家には、ちょっと小ぶりのやかん、探すことが意外と難しい瀬戸産のシンプルなデザインのうつわ、お店オリジナルのものすごく丈夫なワークパンツなどなど、タロケイグッズがあちこちにある。

店主の湯浅かおりさんは、全身おしゃれでできているみたいな、センスの塊。けれど、気取った感じはかけらもなく、とっても笑い上戸。お店に行くと、だいたいふたりで手を叩いて高校生みたいに爆笑している気がする。今回は、愛知県内にファンの多い店主の湯浅かおりさんに、おしゃれなものはやってこないことになっている瀬戸市に(すんません)、なぜお店が誕生したのかヒミツをおうかがいしましたよ!

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瀬戸に来ることになったのは、お嫁に来たことがきっかけです。日本舞踊をやっていて、先生がこちらの方にみえたので、昔からちょこちょこは来ていたんです。瀬戸のイメージは、瀬戸電(現・名鉄瀬戸線)に乗って栄から30分で到着する、本当にのんびりした町。結婚前は名古屋市内でアパレル関係のお仕事をしていて、こちらに来てからはほぼ専業主婦。主人が昭和7年から続く金物屋「京屋」の次男なので、お店のお掃除や雑務などのお手伝いをしたりして過ごしていました。
専業主婦って、基本的にずっと家にいるじゃない? とりあえず、家の中で何か楽しいことを見出さなきゃと思って、不定期で自宅のリビングを解放して、フィンランド語で家という意味を持つ「talo」という名前をつけて、縫い物したり、仕入れたものを売ったりしたことが「タロケイ」の始まりです。

お店になったのは、2011年。8年くらい前に2店舗あった「京屋」をひとつにしたんです。ひとつは今もびっくりドンキーがある広い通りで営業を続けていて、瀬戸街道沿いにあるこの店舗を使わないのももったいないね、ということで、お兄さんと物件を分ける形になりました。そのときに主人が「京屋」の中でエクステリアといって、お庭を整備したり、お家の門扉をつくったりする部門で独立して、ここを事務所に。私の方もお店を開こうと思ったものの、なかなかせーのでは始められなかったので、2年くらいは私も主人の手伝いをして、間口を広げる意味も込めて、「タロケイ」を開きました。「talo」に「京屋」とかおりのKをくっつけて「タロケイ」。最初の頃は店舗で暮らしにまつわる教室も開いていたけど、木片を削ったりっていう作業をすると、どうしても粉がふわ〜っと舞って、あかーんってことで、2年半くらい前にすぐ近くにあった元柔道道場を改装して、展示やワークショップをするスペース「みちば屋」を開きました。

それにしても、まさか瀬戸の嫁に来るとは。しかも金物屋の! 名古屋市内のサラリーマン家庭に育ったから、商売屋に来るっていうイメージがなかったんですよね。結婚も電話で申し込まれて「はい」って答えて。出会って3、4ヶ月で決めてしまったんです、私。デートもそんなにしてないで。あははは! 主人は日体大卒なんだけど、ザ・体育会系で、周りにいなかったタイプ。私は美術大学に通って、ものをつくる変人に囲まれていたから、熱血というか、そういう人柄が新鮮に思えたのかな。
結婚、正解でしたかね? 27歳で結婚して、17年間離婚しなかったから、大・正・解ということにしといてもらっていいですか(笑)。ものを買うとか、何か選ぶときはいつもそうなんですけど、迷うことがないんです。お店を始める時も一応はできるかな? と思ったけれど、なんとかなるだろうと。なんとかなるだろうと思わないと、始められない。誰かと知り合えて、豊かになるものが得られると思えば、別に動けるしね。

節目、節目の選択もそんな風で、瀬戸でお店を始める不安はぜんぜんなくて、好きな人は来てくれるだろうしと思っていました。おごりとかじゃなく、ちゃんと伝えれば伝わるんじゃないかな。

 

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