2020年に新型コロナウイルス(COVID-19)が感染拡大して、4年。パンデミックを経て、2023年5月8日をもって、厚生省により5類感染症に移行されました。マスクは自由。イベントの人数制限もなくなりました。地方都市の小さな喫茶店を娘と営む私にとって、この4年間はどんな時間だったのか、記録したいと思います。新型コロナウイルスの始まり新型コロナウイルス日本初の感染報道は、2020年1月15日のこと。まだ、どこか遠いお話でした。1月17日、名古屋市伏見のレストランで長女夫婦の結婚披露パーティーが行われました。県外からもお友だちや兄弟家族が集まり、賑やかに楽しい会食でした。 しかし、感染者の数は増える一方で、小中学校卒業式など自粛が決まっていきます。そして、1回目の緊急事態宣言。4月7日〜5月25日。廃校となる私や娘たちの母校、深川小学校最後の卒業式は、人数制限の中ひっそりと行われました。長女と「喫茶ニッシン」はどうしたら営業が続けられるか相談する毎日。時間を短縮、対面カウンターは閉鎖、席数を減らします。換気と消毒。しかし、マスクと消毒は不足しています。ハンカチでマスクを作ったり石鹸で手洗いしました。シュガーポットは撤去、スティックシュガーに切り替えます。ゴールデンウィークは、4連休。感染拡大と裏腹に、GoToトラベル、GoToイートの消費拡大クーポンが出されて、お客様に来てほしいやら、来ないでほしいやら悩ましい日々。その頃、長女のおなかに新しい命が授かったことが判ります。本人だけでなく、家族みんなが緊張と不安です。検診は予約で本人のみ、母親教室もなく、とにかく手洗いうがいに励みます。暑い夏になりました。換気扇を回しっぱなしにしながら、ドアを開け放してエアコンをかけ続け、とうとう壊れました。ご近所のせきや精肉店さんが、大きな扇風機を貸してくださり、午前中だけでもと営業していました。まったく明日が見えない中、店を閉めたらおしまいという気持ちでした。瀬戸市が運営する「せとまちツクリテセンター」で、補助金や助成金の資料をいただきます。自分たちに使えるものはどれか、今足りないものは何か、考える助けとなりました。コンサルタントの方が、申請書の書き方も指導してくださいました。瀬戸一番のお祭り「せともの祭」が中止に!でも「せとひとめぐり」が開催!毎年9月に行われる、瀬戸一番のイベント「せともの祭」が中止と決まり、ますます気持ちが暗くなる私たちに「このままじゃダメになってしまう。何かしよう!」と、動き始めた人たちがいました。古民家宿の「ますきち」、窯元「SUIYO」が考えた「せとひとめぐり」。瀬戸市内の工房や商店が連携してお店を開き、少人数ずつで瀬戸を回って人に会い、その人の作るものや思いを伝え合おう。瀬戸の街を好きになってもらおう。なんて素敵な企画。参加したかったのですが、エアコンが壊れているし、妊娠中の娘に無理はさせたくない。結局当日はエアコンの設置工事となり、店の前で娘とふたり、「ひとめぐり手ぬぐい」を首に巻いて道行く参加者の皆さんを応援することになりました。5回のワクチン接種2020年当時、62歳の私ですが、ありがたいことに特に副反応もなく、5回の接種をしました。ワクチンについて、またウイルスについてさまざまな噂があり、打つか打たないかと話題になっていました。そんな時頼りになるのは、陶生病院感染症内科医の武藤義和先生の「今週のコロナニュース」。わざわざプリントして配ってくださる市議さん(当時)がいらして知りました。わかりやすく、むしろ砕けた言葉で、正しく恐れ、感染症にたち向かう気持ちにさせてくださいました。長女に赤ちゃんが誕生 2020年12月、祖母となることができました。出産時15分だけのパパ立ち会い以外、誰も面会できず、ひとり病室で出産を祝った長女と孫。みんながかわるがわるお祝いに来てくれた自分のお産の時を思うと寂しく、かわいそうになりました。その後、喫茶ニッシンは1ヶ月間休業。初めて孫とお年越しをしました。赤ちゃんと仕事◉2021年1月8日〜3月21日:2回目の緊急事態宣言出産後、母子ともに健やかで、恐る恐る営業再開。◉2021年4月25日〜6月20日:3回目の緊急事態宣言初めて夫が、もう閉めた方がいいんじゃないかと言いました。そうね、そうなんだよね。孫が店に居ると、触ってくる人がいます。抱こうとする人もいます。「ダメ」とやんわり言いますが、お年寄りにやんわりは効かないのです。夏には、1年遅れの「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」が無観客で開催されました。◉ 2021年7月12日〜9月30日:4回目緊急事態宣言8月にはテイクアウト専用窓を設置。混み合いそうな日にはテイクアウトだけの営業を挟みながら、できる限りの感染対策を続けます。 愛知スタンダード認証の店へ。非接触検温器、消毒器、アクリルパネル設置、換気、空気清浄機。トイレの使い捨てタオルなどなど。何回か調査員が来ました。喫茶ニッシンは星2つ。こんなに頑張ってるのになんで3つくれないのよ。長女が言うには、非接触水栓が必要らしい。ちょっと不本意だけど、胸張っていいよね、私たち。 『喫茶ニッシン』を引退。長女が事業主へ。10月16日に「せとひとめぐり2021」開催。今度ははりきって参加します。席数は半分以下。テイクアウトをお勧めしました。私の持っている古本を、店頭ワゴンに並べて、お一人一冊、イベント券「はりきりチケット」をくださる方には好きなだけお持ち帰りしてもらいました。中には、「わー! 私の読書歴とほぼ同じ!」とおっしゃる方もいらして、はりきった甲斐がありました。2022年11月1日、愛地球博記念公園に「ジブリパーク」が開園。瀬戸の街が、報道取材でざわつきます。段階的に外国人の流入も始まりました。感染防止への関心がバラつき始めて、検温消毒もスルーされる方が現れるようになりました。パーテションを勝手に移動されるなど、別の難しさで疲労が生まれてきました。それまでも状況に応じて行政や仲間とリモートで連絡を取り、最善策を尽くしてきたのは娘でした。生まれて初めてのパンデミックという経験に、デジタル世代の娘と相談しあえたのは心強いことでした。最後に。ご近所のせきや精肉店はじめ、豆腐店、手作りパン屋、薬局、本屋、電器屋。近所の日頃お付き合いしているお店が開け続けて、日々の暮らしに本当に助かりました。小さな地域で必要なものをやりとりする、これが確かな暮らしだと思われました。不要不急ではない、喫茶店という仕事を続けることの意味を自問自答する日々の中、この方々が必要だよと言ってくださったのは心の支えとなりました。2023年5月8日、COVID-19は5類感染症になりました。以上が、マユミーヌ的「withCOVID-19」の記録です。みなさんは、どう過ごされましたか? ご覧いただき、ありがとうございました。