こんにちは。瀬戸愛好家のうな うな夫です。前回、自己紹介記事として、とあるうなぎ屋さんがきっかけで、瀬戸へ移住してきた経緯をこちらで書かせていただきました。瀬戸の秋はイベント目白押し。瀬戸市最大の「せともの祭」を皮切りに、11月までいろんな場所でいろんなコンセプトでイベントが繰り広げられます。数多のイベントから、今回は10月8日に開催された「窯垣の小径まつり」にお邪魔しました。そもそも「窯垣」って何? 私も瀬戸に来るまで知りませんでした。やきもの用語がそこかしこに溢れている瀬戸です。窯垣とは、使い古された窯道具を斜面に石やブロックの代わりに積み上げて作った擁壁のことです。[写真:窯垣の一例。場所によって積み方や素材は様々。ここでは棚板(長方形)、エンゴロ(大きな丸)、ツク(小さな丸)が積み上げられている]窯垣の小径がある洞地区は山に挟まれた谷筋にあり、その斜面を利用していくつもの登り窯が作られ瀬戸のやきものの一大産地でした。登り窯は斜面で良いのですが作業場は平らな土地が必要なため、段々畑のように窯垣で平らな土地を作ったのでした。その窯垣が幅一間の路地に沿って400mほど続くのが「窯垣の小径」です。往時には、やきものや原料を積んだ大八車が引っきり無しに行き交ったそうです。私が窯垣の小径に行くようになったきっかけは、朝にうなぎ屋さんの順番を取って食べるまでの間(電話予約なしのため、朝に並んで、指定された時間に食べに向かう)、瀬戸の街をぐるぐると歩き回るうちに辿り着いたのでした。落ち着いた雰囲気が気に入って、しばしば足を運ぶお気に入りの場所です。このお祭りでは『王子窯ガイドツアー』『瀬戸民藝館ガイドツアー』『円の会 古民家から秋の作品展』『スタンプラリー』『お手軽絵付け体験』の5つのイベントがありました。私はこのうち『スタンプラリー』と『王子窯ガイドツアー』に参加したので、その模様をお届けします。素敵なプレゼント付きのスタンプラリー窯垣の小径を中心とした全7箇所をめぐるスタンプラリーです。5箇所以上のスタンプを集めて「窯垣の小径資料館」へ持って行くと、抽選で素敵なプレゼントがもらえます。さっそくマップを片手に、秋の爽やかな風を感じながら、散策開始。小径を登り下りしつつ進んでゆくと窯垣が現れます。遠くからデザインを眺めたり、近づいて刻印された屋号を探したり、積まれた素材を比べたり、楽しみ方は無限大。窯垣を眺めながら歩いているとスタンプスポットに到着! スタンプには、やきものにまつわる漢字が刻まれていました。スタンプを集めると洞地区をくまなく歩けます。洞でつくられている、こちらの器をいただきました!王子窯ガイドツアー[入口の大きさから窯が大きさがわかる]スタンプ設置場所の一つ王子窯は江戸時代中期に創業した窯元で、昭和中期まではすり鉢・甕などの本業焼きを、それ以降は重油窯で志野釉を中心とした食器、花器、民芸品を作っています。窯元のご主人自らの案内によるガイドツアーは人気で、集合時間の前から行列で、定員の倍近い人が参加しました。ツアーでは王子窯の歴史や製土、重油窯、瀬戸市指定有形文化財のモロ等の説明があり、参加者は熱心に聞き入っていました。重油窯の説明ではかつて使われていた窯の中に入って説明を聞き、窯の巨大さに圧倒されました。[写真:乾燥中の干支の置物が所狭しと並ぶ]ろくろでの成型や乾燥をおこなうモロにも入ることができました。乾燥中の製品が所狭しと並ぶモロは薄暗く冷やりとした空気が印象的でした。最後にものづくりの工夫や苦労を知れる見学は楽しいですね。「窯垣の小径まつり」は毎年10月に1度のみ。来年は窯元さんでお話を聞いたり、絵付け体験に挑戦してみようかな?