連載5回目にして、いよいよ瀬戸にUターンしてからのお話です!いわゆるフリーター状態だったこの期間が、今考えるとゲストハウスを開業する上でとても大事だったなと。前回までの記事と合わせて、ぜひお読みください。第一回: 大学卒業後、地元で宿を起業。南慎太郎は何者なのか?第二回: なぜ大学卒業後に地元へUターンし、宿を起業したのか? 〜学生時代前編〜第三回: なぜ大学卒業後に地元へUターンし、宿を起業したのか? 〜学生時代後編〜第四回: 古民家宿「ますきち」物件探しのこと瀬戸市にUターン前回は、現ますきちの物件に出会い、借りることになるまでのお話を書きました。2017年の春に大学を卒業して瀬戸市にUターンした僕は、ますきちをオープンするまで、アルバイトをしながらの古民家生活を過ごします。どんな生活をしていたのか?この時の気持ち。いざ瀬戸に帰ってきたはいいものの、生まれ育ったエリアとも離れているため知り合いもほとんどおらず、何をしたらいいのか本当に手探りな状態でした。第二回で書いた鬱状態からも完全に脱却したわけではないこともあり、「これで本当によかったのか」と自問自答をしていました。そんな中、片付けとアルバイトと散歩、そして時折気になる人に話を会いに行くという日々を過ごします。物件の片付け僕が瀬戸に戻ってくる前に、大家さんが少し片付けをしてくださっていたものの、どこもかしこも物で溢れていました。大量の布団、棚一面の書類や本、箱に入ったお雛様などなど。生活をするためにも、まずはシャワーとキッチンを使えるようにするところから始まりました。心がまだ大学生だったため、アルバイトのない日はお昼まで寝て、起きてから物を選別してゴミ袋に入れていきます。そうして、段々と使える空間を拡張していきました。ラジオサンキューでのアルバイト大家さんが地域ラジオ局「ラジオサンキュー」の社長だったことから、そこでアルバイトをさせてもらいました。かなり自由に仕事をさせてもらい、週に3〜5日ほど出勤していました。HPの修正や営業資料の作成、イベントの手伝いなどを行っていました。また、月に一度、瀬戸市の若者に話を聞く「Up and Comers」という番組をさせていただきました。ラジオサンキューでの仕事を通じて、年代を問わず瀬戸市内で活動する方と知り合えました。ますきちをオープンする直前まで、アルバイトを続けさせてもらいました。町の散歩アルバイトの後の時間や、暇なときはよく近くをふらついていました。ゲストハウスを開業できるのか判断する上でも、瀬戸にどんな魅力があるのか? 本当に遊びにきてもらえるのか?と考えながら、町の人の話を聞いていました。焼き物のことや商店街の歴史についても少しずつ知っていきました。そうした日々の中で、同世代のつながりも出来ました。僕もお世話になった瀬戸市の空き家バンク第一号の物件が、現代アーティストが集まるビル、「タネリスタジオ」(以下、タネリ)だったのです。タネリスタジオとの出会いタネリのことは、物件を紹介してくださった瀬戸市役所の前嶋さんからも聞いていて、気になってDIY中の様子を外から覗いていました。しかし、これまでの人生で画家や現在アーティストといった方達と接したことがなかったので、臆してなかなか話しかけることができませんでした。その後、Uターンしてから数か月がたった2017年の6月に、タネリスタジオがオープンしました。一階には、現代美術家さんが運営する Art Space & Cafe Barrackも併設。このオープンニングイベントに参加したことがきっかけで、タネリスタジオの方達との交流が始まりました。さらに、市役所が運営するツクリテ支援の場「せとまちツクリテセンター」も同時オープン。商店街付近では、「クロガネモチノキ」というクラフト市も開催されていて、多様なものづくりをされているツクリテや、作品を求めにくる人で溢れていました。この日から、同世代の友人も出来ていって、瀬戸市でゲストハウスを開こうという思いが強くなっていきました。はじめてのせともの祭片付けを進めつつ、瀬戸の生活にも慣れていきました。時折、瀬戸市外にも出ていくことで、愛知県内に知り合いも増えていきます。豊田市でコミュニティスペース、ゲストハウスを開こうとされている犬飼詩織さん(その後、kabo.を開業)や、名古屋でシェアハウスを運営している藤田くん(その後、株式会社on-coを創業)とは連絡をとりながら情報交換などをしていました。近隣市街の活動も、ゲストハウス開業に向けたモチベーションにつながっていました。また、前回の記事で出てきたスパイスカレーの専門家、新井一平さんは、当時東京に住んでいたのですが、瀬戸に知り合いが多いことから時折訪ねてくださり、その際は相談にのってもらっていました。一平さんと話している中で、一度一緒にイベントを企画しようということになり、瀬戸が一年で一番盛り上がる「せともの祭」の日に、古民家でカレーを提供しようということに。これが、現ますきちでの初めてのイベントでした。知り合いのデザイナーさんにチラシを作ってもらい、近隣のお店に置いてもらいました。当日は、大家さんや、友人もカレー作りや配膳の協力をしてくださり、お客さんもたくさん来てもらえました。ゲストハウス開業を決心。SNSを開始カレーイベントも無事に終え、ようやくゲストハウス開業することの決心がつきました。まずは、当時主流だったFacebookを立ち上げ、初投稿をしました。これまで、ゲストハウスのことは限られた人にしか話していなかったので、SNSで発信することがとても怖くて勇気が必要だったのを覚えています。投稿したところ、学生時代の友人や瀬戸に戻ってから出会った方など、たくさんの人が応援のコメントをしてくださり、心からほっとしたのを今でも覚えています。そしてその後、Facebookを使ってイベントを立ち上げました。最初は、古民家片付け企画です。集まってくれるのか心配だったのですが、10名近くの方が参加してくださり、全員で大掃除を行いました。掃除の途中には、みんなでご飯を食べて、最後にはまち歩きをしました。これまで、自分一人で片付けても全然進まなかったのに、一気に片付けが進みました。その上、とても楽しんでもらえたのを覚えています。片付けやリノベーションも、多くの人と一緒に進めていくことで、途中過程も楽しんでもらいながら、作り上げることができるのでは、と気が付きました。ここから、現在に至るまで改装をするたびに、人に頼るようになっていきます。(笑)みなさん、本当にありがとうございます。2017年の終わりには、忘年会を開催しました。瀬戸でお世話になっている方や市外の知り合いの方も来てくれました。少しづつ、この古民家に人が集まってもらえる流れができていきました。(この時点ではまだ名前も決まっていませんでした)次回からは、いよいよ改装に入っていきます。そして、妻の南 未来との出会いについても書きたいと考えています! ぜひ楽しみにしていてください。