瀬戸の案内本『まちをあるく、瀬戸でつながる』を発売して、まもなく1ヶ月が経ちます。おかげさまで、現在で1000部以上が、全国へと旅立ってくれました。個人で何冊も買ってくださる方がいたり、瀬戸市内だけで20店舗の取り扱っていただき、地元のみなさんが応援してくださっている想いが、ひしひしと伝わっております。ここから、さらにがんばるぞ〜!!! と燃えております。*さて、本日はこの本が出版されるまで、そして、中身について、なかなかできていなかったので、改めてお話したいと思います。ちょいと長めですが、おつきあい頂けると、うれしいです。出版社をつくる。今回、わたしたちは「ヒトツチ出版」という出版社を立ち上げることからはじめました。その理由は、いろいろとあるのですが、商業出版で本を出すって、むずかしいということでした。本を出すには、時間、そして、お金がと〜ってもかかります。デザイナーさん、カメラマンさん、編集者さん、校閲さん、ライターさん、そして、印刷費がどんっと。それゆえ、売れる見込みがなければならない。けれど、今回の本は、わたしも無名だし、瀬戸というまちも、世の中的には、現時点ではあまりキャッチーなまちではない(今からだと思っています!)その上、案内本となると、つくるのもたいへん。費用がかかる上、売れるかどうかもわからない。いくつかの出版社に企画を相談してみたのですが、企画を通すことが、とてもむずかしかったのです。となると、出版社にお願いして、自費出版という道が残されているのですが、これがまたとーってもお金がかかる。その上、著者にはほとんど印税が入らないので、どう考えても赤字確定。そこで、「はじめる」こと好きの旦那・南慎太郎がいろいろと調べ、出版社をつくったほうがいい、という結論にいたりました。「出版社をつくる!?」それは、わたしにとっては驚きの発想で、まったくそんなつもりはありませんでした。今でも、ふいに出版社を立ち上げたんだ、と思うときがあります。わたしは編集者ではなく、ものかきなので、今後、いろんなひとの本を出す、という予定はなくて、この本を出すために、立ち上げたというほうが正確です。今後についてよく聞かれますが、1冊つくるだけでゼーハーしましたので、しばしひとやすみしてから、次については考えようと思っています。さて、本の流通の仕組みとして、大きな出版社さんは本屋へと本を運んでくれる「取次」さんというひとたちが間に入っているのですが、わたしたちのような小さな出版社は、一緒に運んでもらうことが難しくて、販路の確保は自力となります。というわけで、1店舗ずつ連絡を取りつつというところで、現在のところ、約30店舗(お取り扱い店舗はこちら)。せっかく本をつくったからには、多くの方に読んでいただきたいので、ここから、相性のよさそうな本屋さんや人が集まっている場所をみつけては、連絡などを進めようとしているところです。“瀬戸本”の中身のこと。改めて、どんな本なのか。とても簡単にいうと、瀬戸の案内本です。わたしが地元へUターンしてから4年間かけて、商店街界隈の店主ややきもの関係者の老いも若きも関係なく、みなさんに、お話を聞いて、おもしろい! とぴーんときた話をぎゅっと凝縮しました。構成としては、タイトルそのままに、まずは瀬戸市の商店街をはじめとする、中心市街地まちをあるいてもらい、好きなお店を見つけてもらう。そして、店主と仲良くなって、何度もきてもらえたら最高だなあ、なんなら、住んでもらえたら、最高だなあ、というような想いでつくっています。というのも、旦那の南くんが「ますきち」という宿を開いているので、日々、リアルでの案内をしている。夜寝るときなどに、すこし読んでいただいて、まちへ出かけてもらうだけでも、まちをふかぼるきっかけになるのかな、と思ったりします。わたしは、2018年に瀬戸のまちあるきエッセイ『ほやほや』を立ち上げ、瀬戸のことをあれこれ書いてきました。(今、リニューアル後の整頓中で、記事が少なくすみません!!)インターネットというと、外への発信と思っていたのですが、思いのほか、地元の方に見たよ! とお声かけいただくことが多く、とてもうれしい反面、瀬戸というまちをまったく知らないひとへのアプローチがむずしいなあと感じていました。そこで、今回、この本をつくり、わたしも知らないかもしれないまちの本屋さんやゲストハウスなどに置いていただくことで、瀬戸と出会うチャンスがつくれたらと考えています。わたしが旅したいなあと思う先は、“地域の個性”みたいなものがくっきりしているまち。都会と田舎みたいな話ではなく、まちの個性。それがどんどん外へ発信されていけば、これまで埋もれていたまちが掘り起こされて、日本中にしらなかったまちに出会えて、つながっていけたらいいなという思いもあります。写真は、東京を拠点に活動している濱津和貴さん。どこかノスタルジックな瀬戸の景色に合うようにと、すべてフィルムで撮影していただいています。和貴さんはお仕事で出会い、初対面でとても気が合い、それ以来、何度お仕事ご一緒させてもらったことか。そのままを切り取ってもらえて、いいな、と思う瞬間が似ているので、とても信頼しています。もう何度も瀬戸に来ていただいていて、和貴さんのホームページでも瀬戸の写真がたっぷり紹介されているので、よかったら、こちらからどうぞ。この本はこれから、どうなっていくのでしょう? 予想がつかず、わくわくしています。