瀬戸市といえば、せともの発祥の地であり、やきものの産地。
その理由は、まっしろな美しい土が採れるから。さらに1000年という歴史のなかで、増えていった超のつく専門店があり、窯元さん、陶芸家さんを支えているから、ということが大きいのデス!

今回ご紹介する「梶田絵具店」さんは、釉薬屋さん。
釉薬とはなんぞや?? というと、陶磁器の表面を覆っているガラス質の膜のこと。色は無限にあり、ツヤツヤとしたり、マットなど手触りも違ったり、機能面でも水を弾いたり、うつわの印象を大きく左右します。店主の梶田重克さんは、「梶田絵具店」三代目で、この道30年以上。めちゃくちゃ専門知識が高い上、懇切丁寧に教えてくださるので、陶芸に携わる方にとっては、もはや神か!?

今年6月からは、もっと広く釉薬の知識を発信したいと、YouTubeもスタート。お店を朝7時から19時まで営業するかたわら、すでに30本近くの動画が公開され、すごすぎる。日本中から注文が入る「梶田絵具店」とは、どんなお店なのか、いつも元気でパワフルな梶田さんにお話をおうかがいしましたヨ。

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うちのお店は祖父が、昭和7(1932)年に始めました。
もともとは、窯焼きさんをメインに商売をしていて、朝、工場に行って、「足りんもんない?」っていうのを聞く。そういう商売だった。でも、僕が20歳の頃に円高になって、外国から仕事がこんくなって、それが通用しんくなった。

その一方で、2000年くらいから地方から、原材料がほしいと言う声が出てきた。たぶん窯業業界が厳しいので、全国の原料屋さんが辞めてしまったり、そういうことがあると思う。

そんななかで、瀬戸の方々も日本中の方も、必死にやってみえる。
だから、僕たちはお客さんが、ほしいものがあったら、何か形、応援できる準備をしておく。その頃から、自分でテストピースをつくったするようにもなった。でも、お客さんが瀬戸だけではなく、日本中ということになると、産地によって焼く温度、燃料などによって、設定温度が微妙に違ってくるんです。そうすると、今まで以上に勉強しなければいけない。それだけでも、何十年かかるの。何千以上の実験よ。

うちがターゲットにしとるのは、やきものを命がけでやるひと。
やきものをいっぺんつくるならいいよ。でも、30年、40年でやっていこう、家族を養っていこうと思うと、やっぱりずーっと勉強しなきゃ続かない。

僕はね、高校卒業のときに親に「人手がないで帰ってこいよ」ということで、帰ってきて、働きながら「瀬戸窯業高等学校 」の専攻科にいっとったの。でも、仕事を通して、お客さんと話をすると、お客さんが何言っとるか、わっからへん! じゃあ自分でやってみる。焼くっちゅうこと。結果見て焼いて、結果みて焼いて。繰り返さないと、学校で学んでも、なかなか理解というか、中に入っていくことが難しいかな。

YouTubeを始めたのはね、前にお店で働いていた子から「やりゃあ、やりゃあ」言われとって、2年くらい前に、よーし、ほんならやるわ!ってやったけど、お蔵入り。自分ひとりで1本つくったんだけど、あまりにもくどくて。これは人様に見せるもんじゃないと、封印したの(笑)。

でも、心境の変化でね。やっぱり年食ったんですよね。
去年の12月に、甲状腺摘出して動けなくなっちゃった。不死身だと思っていたら、不死身じゃなかった。親と嫁さんの家族経営だから、家族の中で情報を今風でいうと、シェアしようっていうような、優しい気持ちも芽生えて。それで迷ったんですが、商売繁昌、家内安全!で嫁さんも、YouTubeに引きずり出した次第です。

手を取り歩いていこうよと、二人三脚で足並み揃えようと思ったら、前の動画とはだいぶ変わって、これなら、出してもいいんじゃないかということでやってます。昔はお客さんに知識があった。でも、今は違う。僕たちが知っていることをオープンにする。釉薬のことわからんで来てちょーた人たちにも、話するでしょ。そうすると、その人の知識が上がる。そこが、必要。

そのためには、正確な情報が伝わらいかん。教えたけど、できへんじゃあかんでしょう? できた、できた。じゃあ、次の段階は? となっていくためには、こちらでもぜーんぶ、やっていくということ。

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終わりなき、研究魂!
こういったお店が存在しているからこそ、産地が産地でいられるんだなと思います。ありがたや。

梶田絵具店
住所:愛知県瀬戸市陶原町2-22
営業時間:7時〜19時
定休日:日曜・祝日

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