瀬戸を拠点に、フィリピンやインドネシアにある秘境のコーヒー農園を自ら旅して探し、自然栽培の豆を自家輸入する「UNKNOWN COFFEE」。旅をこよなく愛する、店主の垣内亮一さんのストーリーをお届けします。*2015年、垣内亮一さんはフィリピンのルソン島北部にある山岳民族の集落を旅して、フィリピンのコーヒーに出会った。「宿泊先の集落がコーヒーの産地で、お茶のようにコーヒーを出してもらって。それが、僕が人生で初めてコーヒーを美味しいと思った瞬間だったんです」標高1000m以上の山に囲まれた気持ちいい空間での一杯だった。帰国後、フィリピンの豆は日本で手に入りにくいことを知り、再び現地へ。まずは農園を探しに行かないとと、探しにいくと、トントン拍子で見つかり、自分で輸入することに決めた。それが「UNKNOWN COFFEE」のはじまりとなった。直取引だったため、最初は豆を安定的に届けてもらうことができず、ヒヤヒヤしたものの、次第に安定して仕入れることもできるようになり、新たな豆の開拓も進めるように。そのなかで、現地の日本人の方に「わたしにとってはあまりにも秘境すぎて、流通も困難だけど」と農園を紹介される。「そんなこと言われたら、行くしかないですよね!」教えてもらった場所は、首都・マニラからバスで6時間かけて、ベンゲット州にアクセスするバキオというまちに行って、それからさらに山道を6時間。そこからさらに1日1往復の乗り合いトラックに4時間乗った先にあった。そこでは、60歳過ぎのおじさんがコーヒー栽培をしていた。コーヒー農家ではないけれども、山を買い、家を建て、庭で野菜をつくったりして暮らしていた。自然を守りたいというひとで、山のなかに植物をいれて、野生化させて、地球に返していく。そんなふうに考えて、栽培していた。どういう場所で育てているのかと聞いたら、ヘルメットをかぶせられて、道のない斜面を案内された。まさにそこはジャングル。「ひとりで入ったら、絶対、帰ってこれないですね(笑)」あそこにコーヒーの木があるだろ? そう言われた先にコーヒーの木はあった。そのおじさんに「コーヒー豆の名前をつけてくれ」といわれ、つけた名は、その名ままズバリ「ジャングルコーヒー」。秘境から持ち帰った豆は、自家焙煎され、提供されている。そのお味は、野性味あふれるものかと思いきや、すっきりとして、とても飲みやすい。亮一さんは、今ではインドネシアの秘境農園にも足を伸ばし、取り扱いの豆を増やしている。「僕は20歳の頃から旅を続けてきました。コーヒーとの出会いで、やっと仕事として旅に出る理由が見つかりました」今はパートナーの豆ちゃんと一緒に活動を続けています。全国のマルシェやフェスなどで登場しているので、出店先はこちらからご確認して、ぜひお出かけしてみてくださいね。